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石けんと合成界面活性剤(合成洗剤)の違い

石けんと合成界面活性剤(合成洗剤)には原料・構造・添加物・製造方法に大きな違いがあります。

石けん

石けんは天然の油脂とアルカリで作られた、手肌(人体)にやさしく、環境にも配慮した昔ながらのシンプルな洗浄剤です。

原料: ヤシ油、牛脂、ラード、なたね油、大豆油、米油、オリーブ油、パーム油などの天然の動植物製の油脂を主原料として出来ています。
構造: 天然油脂を苛性ソーダで加水分解して作られ、構造は「脂肪酸ナトリウム」とよばれています。特徴は親水基(水に溶ける部分)が弱い酸であるカルボン酸であるため水の中に含まれるカルシウムなどの成分と結合して石けんカスになり界面活性剤としての働きを失います。これは、石けんの欠点でもあり長所でもあります。石けんが濃い濃度のうちは界面活性が働き、濃度が薄くなれば働きを失うので、肌に優しく河川に排出後は水と炭酸ガスに分解され、石けんカスは微生物の栄養源となり、生態系にリサイクルされます。

更に、皮膚表面の酸性環境で中和され界面活性を失うので洗いすぎでお肌を荒らすことがありません。(アルカリ中和能)

添加物: 洗濯用石けんなどには石けんの働きを高める為に炭酸塩(炭酸ナトリウム:洗浄力強化)や化粧石けんには酸化チタン、香料(劣化防止などのため)などが添加されています。
製造方法: 天然油脂などから油をそのままの形を原料とし苛性ゾーダーで反応させて作る昔ながらの製造方法の「鹸化法(けんか)」と天然油脂から取りだした脂肪酸を原料とする「中和法」があります。至って単純な工程で出来上がります。廃油石けんなどの手作り石けんは鹸化法で作られています。
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合成界面活性剤(合成洗剤)

主に石油成分から作られ、高温・高圧などの複雑な工程をかけて製造されます。決して手作りで作れません。また、化学構造も複雑な為、排水や河川に流れ出た後は分解されにくいとされ、水中の微生物に大きく影響します。

原料: 主に石油成分から作られています。最近では石けんと合成界面活性剤(合成洗剤)両方を使った「複合石けん」や、「ヤシの実やパーム油などの天然油脂を原料」とした合成界面活性剤(合成洗剤)などが販売されています。しかしこれらはれっきとした合成界面活性剤(合成洗剤)です。
構造: 石けんとは正反対の構造で、親水基が強い酸(硫酸など)を使うことがある為に水の中に含まれるカルシウムなどの成分と結合しにくく石けんカスができないので低濃度になっても界面活性剤の力が弱まらず手肌や環境に影響があります。
添加物: 洗濯用には蛍光増白剤、酵素、柔軟剤など。台所用には安定化剤、粘度調整剤など。
製造方法: 高温・高圧などの複雑な工程をかけて製造されます。
コラム :
石けんと合成界面活性剤(合成洗剤)の見分け方

今現在、シャンプーや台所、洗濯に使っている物が石けんか合成洗剤か調べてみましょう。

  1. 中身の見える透明のコップに水1/3(70ccほど)入れます。
  2. 1. に調べたいシャンプーや石けん、合成洗剤など小さじ1杯程度を入れます。
  3. 2. をよくかき混ぜ泡立たせ、そこに酢を小さじ1/2ほど入れ混ぜ合わせます。
  4. 液体が白濁し泡が消えたら石けん。液体に変化なく泡が消えなければ合成洗剤。液が白濁し泡が消えなければ複合石けんです。

* 石けんと酢の中和反応を利用した簡単な確認法なので目安としてご参照ください。

※ 複合石けんとは純石けん成分が70%以上のもので、合成洗剤と石けんを混ぜ合わせたものです。

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石けんのメリット・デメリット

メリット:
  • 皮膚に接したときに汚れや表面の酸性環境などによって中和・分解してしまう。
  • 皮膚から侵入しない。
  • 分解が早いので環境に優しく、石けんカスは微生物のエサになり微生物が活発化する。
  • 洗浄力が良く用途によって何にでも使い分けできる。
デメリット:
  • 洗濯物が黄ばむ・黒ずむ
  • 石けんカスが残る
  • 髪がパサパサ・キシキシする

石けんの性質を知りうまく使いこなせば問題は解決できます!

コラム : カイワレ大根

小学生の頃に夏休みの宿題で「石けんと合成洗剤で育てたカイワレ大根」という実験をしたことがあります。この実験とは、いちごの空きパックに水、石けん水、合成洗剤をそれぞれ水で薄めたものを入れ、脱脂綿を浸し、その上にカイワレ大根の種を蒔きそれぞれの発育を観察すると言う至ってシンプルな実験でした。結果は合成洗剤水で育てた方は少し芽が出たもののすぐ枯れてしまい、石けん水で育てたカイワレ大根は水で育てたものと同じようにすくすく育ちました。

なぜ、石けん水でカイワレ大根が育ったのか?それは、分解が早くカイワレ大根にとっても無害である事が大きな理由ですね。

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合成界面活性剤(合成洗剤)のメリット・デメリット

メリット:
  • 溶けやすいのでカスが出ない
  • 誰でも簡単に使える
  • 蛍光剤などを配合すれば白く洗い上がる
デメリット:
  • いくらすすいでも皮膚や食器などに残留したりすると界面活性が残る場合があり、皮内への浸透も懸念される
  • 分解されにくいものが多く、環境に大きな影響があるといわれている
  • 皮膚バリアが弱化しているときなど、皮内に侵入した場合人体への影響が指摘されている例もある
コラム : 封筒の実験

浸透性の説明をする際に封筒を使った実験をよくします。

2枚の封筒を用意し、その封筒に水を100cc位入れます。1枚の封筒には台所用合成洗剤を10cc程入れます。約15秒後には台所用合成洗剤を入れたほうの封筒は中の水分が染み出してきます。合成洗剤の量が多いほど早く浸透します。それほど合成界面活性剤は浸透性があるという分かりやすい実験です。

浸透というといいイメージを思い浮かべるでしょう。しかし、シャンプー、化粧品、洗濯、食器洗い、歯磨き粉などによって合成界面活性剤が人体に侵入したら…。無害とはいえません。
また、タンパク変成作用、つまり細胞を壊すことが指摘されてもいます。

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